エンジンフルオーバーホール・外装組み替え
![スーパージョグZRレストア前](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-before-restoration.jpg)
スーパージョグZRエンジンオーバーホール・外装組み換え
外装は割れ欠けが多く自家塗装で外観はボロボロです。エンジンは焼き付いてから乗っていないとのことで友人から貰ったバイクでどうしてもこの型のZR乗りたいので修理して欲しいと、ご依頼がありました。キックを踏むとガサゴソと異音が出ていますのでエンジンの腰上と腰下のオーバーホールをします。
先ずは外装を外します
![スーパージョグZR外装を外す](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Remove-Yamaha-Super-Jog-ZR-exterior.jpg)
前オーナーが自分で弄っていたと思いますが違うネジが組んであったりボルトが付いてなかったりでした。この型のZRは殆どCDIを外品に交換しているのですが、何故かノーマルでした。
車体からエンジンを切り離します
![エンジン切り離し](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Remove-Yamaha-Super-Jog-ZR-engine.jpg)
上からフレームを吊りあげ、ホース、ケーブル、コネクター類を外して車体からエンジンを切り離します。
シリンダーを外すと予想通りピストンがキズだらけです
![シリンダーを外すとピストンがキズだらけ](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-piston-seizure.jpg)
案の定ピストンはキズだらけで何故か液体ガスケットが塗られていました。
シリンダーもキズが多いので新品に交換します
![シリンダーにキズ](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-cylinder-internal.jpg)
駆動系もすべて分解します
![駆動系分解](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-drive-system-decomposition.jpg)
プーリーとドライブベルトはノーマルでクラッチは2JA(旧ジョグでクラッチがかなり軽量)が入っていました。
専用工具でマグネトを外します
![専用工具でマグネトを外す](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Remove-Yamaha-Super-Jog-ZR-magneto.jpg)
同じくクランクを割ります
![クランクセパレート](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-crankcase-separator.jpg)
クランクベアリングが見えました
![クランクベアリング](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-crankcase-bearing.jpg)
クランクベアリングもガタがあるので交換します。
通称ギロチン工具でベアリングを外します
![ベアリングセパレーター](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-bearing-puller.jpg)
バラバラになった部品
![バラバラになった部品](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Parts-you-have-engine-breakdown.jpg)
交換する純正パーツが届きました
![交換する純正部品](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Genuine-parts-to-be-replaced.jpg)
オイルストーンで合わせ面を磨きます
![オイルストーンで合わせ面を磨く](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/I-polished-with-oil-stone.jpg)
ベアリングが入りやすいようにクランクケースを暖めます
![クランクケースをバーナーで炙ります](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/I-warm-it-with-a-banner-crank.jpg)
水を数滴垂らし踊るくらいまで炙りますとベアリングがスムーズに入ります。ベアリングを1日ほど冷凍庫で寝かせればさらに入りやすくなります。
簡単にベアリングが挿入できました
![サイドベアリングインサート](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/The-driving-crank-side-bearing.jpg)
ベアリングの径に合わせたパイプで打ち込みます。奥まできっちり入っているか確認のため叩いて音で確認します。同径のパイプが無い場合は古いベアリングを使い叩き込んでも良いでしょう。
ダウエルピンの穴を清掃します
![Dowel pin hole cleaning](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Dowel-pin-hole-cleaning.jpg)
ドリルの先端にステン束子を巻きつけ回転さすと一瞬できれいになります。
ダウエルピンを新品に交換します
![ダウエルピンを新品に交換](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Dowel-pin-new-exchange.jpg)
クランクシャフトをケースに引き込みます
![クランクシャフト引き込み](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Crank-installer.jpg)
エンジンをマウントするカラーを磨きます
![エンジンマウントカラーを磨く](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Engine-bracket-shaft.jpg)
先にクリップを留めて挿入します
![先にクリップを留め挿入](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Engine-bracket-shaft-split-pin.jpg)
合わせ面に液状ガスケットを薄く塗布
![合わせ面に液体ガスケットを塗布](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/The-application-of-the-liquid-gasket-mating-surfaces.jpg)
クランクケースを軽く合わせます
![クランクケースを合わせます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Crank-installer-work.jpg)
6本のプラスネジをとめます
![6本のプラスネジをとめます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Crank-installation-bolt.jpg)
このときクランクシャフトの回転が重ければクランクシャフトインストール工具で微調整し一番軽く回る所にあわせます。
オイルシールを打ち込みます
![オイルシールを打ち込みます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Driving-crankshaft-oil-seal.jpg)
オイルシールを金具で留めます
![オイルシール留め金具](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-seal-captive-bracket.jpg)
クリップを先に入れプラスティックギアを入れてクリップで留める
![クリップを先に入れプラスティックギアを入れクリップで留める](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-piece-split-pin-inserted.jpg)
オイルポンプのホースを新品に交換します
![オイルポンプのホースを新品交換](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-hose-new-exchange.jpg)
オイルポンプを取り付けます
![オイルポンプを取り付け](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-body-mounting.jpg)
グリスを挿入します
![オイルポンプにグリスを注入](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-grease-inserted.jpg)
紙のガスケットで蓋をします
![紙ガスケットで蓋](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-pump-grease-seal-gasket.jpg)
コイルを取り付けます
![コイルを取り付け](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Coil-mounting.jpg)
三日月型のピンを取り付けます
![三日月型のマグネットピンを入れます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Coil-crescent-pin.jpg)
ローターを取り付けます
![ローターを取り付けます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Coil-outer-cover.jpg)
反対側のオイルシールを打ち込みます
![オイルシールを打ち込みます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Opposite-side-driving-crankshaft-oil-seal.jpg)
クランク大腿部に2ストオイルを注入
![クランクに2ストオイルを注入](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Crank-internal-oil-injection.jpg)
リードバルブとインテークマニホールドを取り付けます
![リードバルブとインテークマニホールドを取り付け](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Intake-manifold-mounting.jpg)
ピストンにリングをセットし片側のサークリップを取り付けます
![ピストンにリングを付け片側のサークリップを装着](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Circlip-mounted.jpg)
ピストンリングのトップとセカンド、裏表の位置を確認し リングを折らないように慎重に取り付けます。サークリップの位置は開口部を上部に合わせ確実に溝にはまっているか確認します。
クランクケースにクリップが入らないようにウエスを詰めます
![クランク内にクリップが入らないようにウエスを詰めます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Padding-foreign-matter-does-not-enter-the-crank.jpg)
ピストンの矢印を排気側に合わせピストンピンを入れサークリップを留めます。誤ってサークリップがクランク内に入らないようにウエス等を詰めます。クランク内にクリップが入れば取り出すのが困難でクランクを割る事になりますので必ず詰め物をしましょう。
新品シリンダーのポートについて
![シリンダーのポートについて](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/New-cylinder.jpg)
純正シリンダーの排気ポートは楕円になっていますが、赤丸のように削ればかなりパワーアップします。今回はノーマルのままで組み込みます。
ピストンをシリンダーに挿入します
![ピストンをセットしシリンダーを挿入します](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/The-piston-inserted-into-the-cylinder.jpg)
ピストン、シリンダーに2ストオイルをたっぷり塗布して片手でピストンリングを押さえながらシリンダーを挿入します。
ファンを回しながらピストンの芯出しをします
![ピストンの芯だし](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/The-centering-to-Turn-crank.jpg)
シリンダーヘッドのナットをトルクレンチで20Nで締めます
![シリンダーヘッド取り付け](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Cylinder-head-nut-tightened-with-a-torque-wrench.jpg)
リアブレーキのカムを研磨しグリスアップします
![リアブレーキカム穴清掃](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Rear-brake-cam-hole-cleaning.jpg)
リアブレーキカムの穴にステンレスワイヤーを巻きつけたドリルで清掃します。カムも磨いてグリスアップします。
車体にエンジンを取り付けます
![車体にエンジンを取り付け](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/I-put-on-the-body-of-the-engine.jpg)
各配線、ホース類をつなぎボルトを留めワイヤーインジェクターでリアブレーキケーブルに注油します。
ギアオイルを交換します
![ギアオイル交換](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Gear-oil-exchange.jpg)
セルのベアリングにグリスを塗布
![セルのベアリングにグリスを塗布](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Cell-bearing-gear-oil-application.jpg)
ヤマハのスクーターでセルからの異音はベアリングのグリス切れの可能性があります。定期的にグリスアップすれば良いでしょう。
クランクシャフトのスプラインにスレッドコンパウンドを塗布
![クランクシャフトのスプラインにスレッドコンパウンドを塗布](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Crankshaft-rudder-re-prevent-oil-application.jpg)
クラッチのフェイスを広げドライブベルトを入れます
![クラッチのフェイスを広げドライブベルトを入れます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/New-belt-drive-system-replacement.jpg)
プーリーをセットしてベルトを押さえインパクトレンチで締めます
![ベルトを押さえながらプーリーのナットを締めます](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Pulley-nut-tightening.jpg)
オイルタンクのホースも新品に交換します
![オイルタンクホースを新品に交換](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Oil-hose-new-exchange.jpg)
古いオイルを抜きホースを新品交換してヤマハ純正2ストオイルを入れます。洗浄したキャブレターを付け混合ガソリンのタンクをキャブに繋ぎ、オイルポンプのホースからオイルが出てくるまでエア抜きをします。最後に外装、エンブレムを新品交換して仕上げました。
ビフォー
![スーパージョグZRレストア前](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/Yamaha-Super-Jog-ZR-before-restoration.jpg)
アフター
![レストア後](https://www.nihon-auto.com/wp-content/uploads/2014/02/After-restoration.jpg)
内外ともパリッとしました。主観ですが、この型のZRがデザイン、エンジンとも最高だと思います。タマ数が少なくなってきていますので大事にお乗り下さい。最後までご覧いただきありがとうございました。